幼虫の飼育方法

こちらで幼虫の飼育法をまとめています。

幼虫の飼育は成虫とは全く異なります。容器やマットも成虫とは違いますし、観賞には全く不向きです。ですが幼虫から蛹、また蛹から成虫になる様子が観察でき、その瞬間は何とも言えない感動があります。他にこの時期でなければ楽しめない事もありますので、幼虫の飼育にもチャレンジしてみてください。

幼虫はマットを食べマットに含まれる栄養素を吸収し大きくなります。大きな幼虫にするには新鮮で栄養価の高いマットを定期的に交換する事が重要です。

幼虫は卵から孵化したばかりの初令→2令→3令と徐々に大きくなり見た目も違ってきます。3令時期が一番長く3令でも初期・中期・終期と分けて考える場合もあります。

飼育に必要な物

飼育マット

幼虫用マットは成虫用とは全く異なり、広葉樹を粉砕し発酵させたものが主流で、中にはキノコ栽培で使用したボタ木を粉砕した物もあります。どちらも基本発酵はさせるいので扱いは同じになります。

幼虫用マットの扱いは使用前にガス抜き(発酵により発生するガス)を行ったり、ダニの発生を防ぐため冷凍庫で数日冷凍したりと少々手間が掛かります。

また、発酵の度合いも銘柄により異なり、発酵が浅い物は気温が高いと再度発酵してしまいます。初心者の方は完全発酵のマットがオススメです。再発酵が起こると容器内の温度が上昇し幼虫がマットに潜らず、また発酵によるガスで酸欠になり最悪★になる可能性もあります。購入の際は発酵度合いを把握し環境に合った物を購入してください。また、できれば途中で銘柄を変える事は避けてください。

おすすめマット

きのこマット

こちらの画像はきのこマットで気温に注意が必要です。利点は栄養価が完全発酵より高いので幼虫の成長には良いです。

完熟マット

こちらは完熟マットで再発酵の心配は少ないですが、キノコマットに比べ栄養価が若干低くなります。ですが栄養価は高ければ良い訳でもありません。

栄養価について

キノコマットに比べ完熟マットは再発酵の心配が少なく扱いやすいのですが、若干栄養価が下がります。ですが高いからと言って利点ばかりではなく、栄養価の高いマットは幼虫の体に負担を掛ける可能性もあります。人間も同じで栄養価の高い食品ばかり食べていると肥満や体脂肪が増えかえって不健康になりますよね?幼虫本来の潜在能力以上の栄養はかえって負担になり不全や最悪★になります。良く考え選びましょう。

ガス抜きについて

新品マットはそのまま使用せずガス抜きを行います。方法は様々ですが、一般的には大きなケースにマットを入れ加水後に1日数回、数日間かき混ぜる方法で行います。またこの作業の際、気温により再発酵する場合がありますので注意してください。ツンとした肥料のような臭いが無く内部の温度が常温ならばOKです。

ダニ駆除について

幼虫マットは必ずと言っていいほどダニや線虫が発生します。人間には害はありませんが、マットを劣化させたり何より見た目が悪いので使用前に駆除をお勧めします。ダニ駆除は冷凍室で2日ほどマットを冷凍させる方法が一般的です。線虫はマット内の水分が多いと発生しますので、加水を適量にする事で防げます。ですが一度線虫が発生してしまうと駆除は難しく、マットを全替えした方が手間と時間は短縮できると思います。

水分量について

幼虫飼育での水分量は大変重要になります。多すぎると線虫など害虫の発生要因になり少ないと成長の妨げになります。一般的にはマットをギュッと握り団子状から崩れないくらいの水分が適量と言われています。握りしめた時に水滴が出る場合は多すぎ、団子にならずバラバラ崩れる場合は少なすぎです。

ここで注意して欲しい事ですが、水分が少ない場合は続けて加水すれば問題ないですが、多すぎた場合はマットの追加か乾燥しかありませんので調整に手間が掛かります。注意してください。

因みに私は10Lのマットに対し500ml~600ml加水します。当然マットの銘柄や乾燥状態により左右されますが参考までに。

飼育ケース・容器

飼育ケースは幼虫の令数と性別で変える事が基本です。初令はプリンカップ、2令~3令初期はブロー容器、オスの3令はプラケース小~中などが一般的です。

プリンカップ

主に採卵や初令~2令飼育に使われます。使用の際は上蓋に通気の穴を開けましょう。

ブロー容器・クリアボトル

初令~3令初期、メスの場合は容量により成虫まで。容器のサイズが複数あるので1400ml~2000mlほどの容器が良いでしょう。

容器により通気口が無いものがあります。その場合は通気口の加工が必要となりますので、有無を確かめてください。

プラ容器

2令~3令終期、容器の大きさにより成虫まで。メスは小ケースで成虫まで大丈夫ですが、オスは幼虫体重により小から中、または大容器にします。

おススメは上蓋にフィルターが付いた容器で、コバエの侵入を防ぎマットの乾燥も抑えます。

ラクぼっくすWIDE

飼育数が少ない、または初心者の方にはおすすめの容器です。2令~場合により羽化まで使用可能です。他の容器に比べ幼虫の観察がしやすい点と、最大の利点として蛹化の際の角曲がりを防止できます。一般的には前蛹時期に入ると人工蛹室へ移行するケースが多く、移行時期の判断や移行時での事故などリスクも伴います。

こちらの容器で飼育すれば前蛹時期の把握もでき、容器内で蛹室が上手くできていれば羽化まで引き続き使用可能です。ですが万が一蛹室が小さくなった場合は人工蛹室への移行が必要となります。

飼育方法

幼虫の飼育方法は令数で多少違いますが、基本はマットを定期的に交換しダニや線虫の発生を防ぐ事が主です。

初令から2令

プリンカップにマットを固めに詰め中央辺りに穴を開け、その中に幼虫を入れます。蓋には通気の穴を開けますがコバエ侵入のリスクがありますので、通気の良い紙を蓋に挟むか小型の洗濯ネットに入れるなどし対策をします。ですがプリンカップで育てるのは1か月程度または2令までで、それ以降はブロー容器に変えた方が良いでしょう。また、幼虫を素手で触る事は極力避けスプーンで移動させるかビニール手袋をして触れる事を心がけましょう。

因みに私の場合、産卵セットよりプラ容器に採卵しそのまま2令まで育てるので、プリンカップでの飼育はあまり行いません。

2令から3令初期(孵化から3ヶ月)

容器はブロー容器またはクリアボトルで行います。いりなりプラ容器でも構いません。プリンカップ同様、容器内にマットを固めに詰め幼虫を入れます。この際、マットを蓋ギリギリまで入れず蓋とマット上部の間に空間を作ってください。

蓋をしっかり閉めた状態で暗く静かな場所で2カ月ほど放置します。約2カ月後または容器内にフンが目立つようなったらマットの交換時期ですが、その際、性別で容器を分ける必要があります。メスは引き続き同容器で飼育可能ですが、オスの場合はプラ容器に変更します。

マットを詰める際は上部に空間を作りましょう。
フンが目立ってきたら交換時期です。

性別の見分け方

3令を過ぎた幼虫の下腹部に点(赤〇)が有るのがオス、無いのがメスです。

3令初期から3令終期

メスの場合はブロー容器で成虫まで飼育可能ですが、オスの場合はプラ容器に変更します。その際、体重に応じ小容器から中容器に変えます。目安としては孵化半年までは小容器でそれ以降は中容器で飼育します。幼虫により体重が150gを越える場合がありますので、その時は大容器をお勧めします。

マット交換は2~3ヶ月に一度、フンが目立ってきたら交換時期です。この状態でメスは約1年弱、オスは1年から1年半ほど飼育します。

3令終期から前蛹

3令も終期になると体色が白から黄色に変わり更にオレンジに近い色になります。マットの消費量も減り体重の増加も少なくなります。この時期は蛹になる準備段階で体重を減らさないよう気を配る事が重要です。特に急な環境の変化は避けてください。

終期に入ると容器内に蛹室を作り始めます。可能であれば週1程度で観察し蛹室ができた日を記録してくおくと良いでしょう。メスはそのまま蛹まで持っていっても問題ないですが、オスの場合、蛹になる為の空間を確保できないと間違いなく角曲がりになります。

完全に蛹室が出来上がり2~3週間すると前蛹になり口や手が動かなく色も茶に近い感じになります。このまま蛹化させる場合もありますが、角曲がりを防止する為には人工蛹室へ移す事をおすすめします。

3令中期
前蛹

前蛹から蛹

容器内に蛹室ができ約3週間ほど過ぎたら、容器から幼虫(前蛹)を取り出し人工蛹室へ移します。人工蛹室はオアシスという生け花用スポンジを加工し作ります。そちらへ移行し1~2週間すると蛹になります。

人工蛹室への移行時期が早すぎた場合、幼虫は口や手がまだ動くので一夜にしてオアシスに潜ってしまいます。その場合は、再度マットへ戻すと数日後には蛹室を作り始めます。

人工蛹室について

人工蛹室は一般的にオアシスという園芸用のスポンジを加工したものを使用します。入手は容易で園芸店やDaisoでも売っています。そのスポンジを幼虫に合わせた大きさに掘り、一度水に浸し容器に入れ使用します。容器はQBOXがオススメでスポンジの乾燥を抑えてくれます。

蛹から成虫

前蛹から蛹化に成功したら、そのまま2カ月ほど適温の場所で成虫になる日を待ちます。その間はあまり触れずストレスを与えないようにしましょう。

羽化後1ヶ月ほどはそのままオアシス容器に入れておき、1ヶ月を過ぎたあたりから通常の成虫飼育に移ります。ですがエサを食べ始めるまで2カ月ほどかかりますので、それまではプラ容器にいれ無理に触れないようしましょう。

まとめ

  • 幼虫用マットは飼育環境に合ったものを選びましょう
  • 幼虫の性別や令数で容器が違いますので間違いのないように。
  • マット交換の目安は2カ月~遅くとも3ヶ月。銘柄は変えない。
  • 前蛹からオアシス飼育に移る場合、移行の時期を間違わないように。
  • 人工蛹室はオアシスを利用すれば便利です。
  • 成虫に無事羽化してもしばらくは触れずに、またエサも与えないように。

幼虫から成虫の羽化まで成功できたならブリードにチャレンジしましょう!

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